OpenFOAMで計算した結果を、Meta Quest 3で実際の空間と重ねて可視化
Meta Quest 3上での操作と可視化
課題
OpenFOAMなどのシミュレーションツールを用いて流体計算を行った場合、ParaViewなどの可視化ツールを用いて、PC画面上で可視化を行うことが一般的です。
一方、近年はXRデバイスが比較的安価に手に入るようになっています。MR(Mixed Reality)に対応するデバイスも多く、実際の空間と仮想的な映像を重ね合わせるコンテンツも多く登場してきています。
そこで、シミュレーションの可視化の新たな手段として、XRデバイス上で実空間とシミュレーションを重ね合わせる技術検証を行いました。これが有効に機能する場合、シミュレーション可視化の新たな選択肢のひとつとなることも考えられます。
開発内容
上記のような可視化を実現するために、Meta Quest 3というデバイスを用いて、OpenFOAM結果を実空間と重ね合わせて表示するシステムを開発します。
現在開発中で機能は十分ではありませんが、開発したシステムを動作させたものを撮影したものが上の動画の結果になります。この動画は、Meta Quest 3を装着したときにユーザーが見ている視界を記録したものです。
この動画では、室内のエアコンから吹き出る温風を、実際の部屋と重ねて表示しています。シミュレーション結果としては、温度や流速ベクトル、また流れに沿って移動する粒子の運動を表示しています。
技術詳細
本システムは、VisAssetsというライブラリを用いて開発しています。このライブラリは、Unity用の可視化フレームワークであり、Unity上でモジュールを接続する形でさまざまな可視化を行うことができます。
元々のVisAssetsはVR用のライブラリであり、実際の空間と重ねて可視化する機能はありませんが、弊社ではこれをMeta Quest 3のMR機能に対応させ、実空間と重ねて表示できるようにしました。
また、VisAssetsは読み込めるデータ形式は独自形式やVFIVEなどの可視化システム用のものを用いています。これはOpenFOAMから出力されるデータ形式とは異なるため、OpenFOAM結果を変換し、VisAssetsに読み込めるようにする変換スクリプトも合わせて開発しました。